近年では「歯科医院の倒産件数が増加している」という旨のニュースが少なからず取り上げられていますが、本当に歯医者は儲からないのでしょうか?
「歯医者が儲からない」と言われている理由をはじめ、歯科医院の経営に失敗する要因をご紹介します。
また、開業した個人の歯医者が儲かるための方法も解説しているので、「苦労して歯医者になっても儲からないのでは?」と危惧している方はぜひご覧ください。
歯医者は儲からないと言われている理由
「歯医者は儲からない」と噂されていますが、どういった理由からそのように思われているのでしょうか?
儲からないと考えられている理由について、歯医者の実情から考察してみましょう。
歯科医院の件数が多いため
厚生労働省の『令和4年 医療施設調査』によると、全国の歯科医院の総数は67,899院です。
日本経済新聞社が公表した『2023年度 コンビニエンスストア調査』では、全国のコンビニの店舗数は57,594店舗でした。
コンビニよりも歯医者の方が件数が多く、限られた患者数を多数の歯医者が奪い合っている状態です。
さらに、人口減少により今後はさらに患者数が減っていくので、歯科医院同士の競争は激化していくと予想されます。
歯科医院の件数が多すぎてしまい、熾烈な椅子取りゲームが繰り広げられているため、歯医者は儲からないと囁かれているのでしょう。
幅広い業務をこなす必要があるため
歯医者は歯や口内の治療に関してはプロフェッショナルですが、クリニックの経営に関するノウハウも豊富でないと儲からない可能性が高いです。
例えば宣伝方法やマーケティング戦略、資金調達や節税対策、スタッフの採用や教育など、多岐にわたる業務に対応しなければなりません。
個人で開業している歯医者は、企業に外部発注しない限り、院長・経営マネージャー・マーケター・人事労務・経理と1人で何役もこなすことが求められます。
歯科医としての業務以外の仕事が多く、生産性が落ちることで儲けづらい状況になると考えられます。
高い運営コストがかかるため
歯科医療で使用する医療機器や材料は数十万円から数百万円と高価なものが多く、莫大な設備投資や維持費がかかります。
物価高騰の影響でテナント料や各種材料費は軒並み高額になっており、他の歯科医院と差別化するために最新の設備やシステムの導入も欠かせません。
また、歯科衛生士や受付スタッフなどの人件費も、運営コストとして考慮しなければなりません。
このように歯科医院を経営するにはあらゆる費用がかかるので、なかなか儲けを出しづらいと予想されています。
人材が採用しづらいため
歯科医院の数が多く、かつ少子高齢化により人口が減少しているため、歯科衛生士や歯科助手などの人材が確保しづらい状況が続いています。
例えば一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会が公表した『歯科衛生士養成教育に関する現状調査』では、2022年度の歯科衛生士の求人倍率は23.3倍と非常に高く、1人の歯科衛生士を23院が取り合う状態です。
歯科医院としては優秀な人材を採用したいところですが、院長は患者の歯を治療することが本業です。
求人広告を出したり面接したりといった採用業務まで手が回らない、というケースが少なくないでしょう。
優秀な人材が採用しづらくて少人数で運営するしかない状況であれば、儲からないと噂されても仕方ないのかもしれません。
個人の歯医者が経営で失敗する要因
個人経営の歯医者が失敗してしまう要因はいくつか挙げられます。
その中でも、特に経営を大きく左右する要因を4つご紹介します。
自院とミスマッチな人材の採用
自院の風土や経営方針に見合っていない人員を採用してしまうと、他のスタッフと折り合いが悪くチームワークが弱体化したり、患者とトラブルに発展したりする恐れがあります。
それまで医院内で築き上げてきた人間関係に亀裂が入ることで、今まで勤めていたスタッフが急にまとまって退職し、採用経費が増加して儲からなくなるかもしれません。
さらに、人手不足により診療時間や曜日を減らした結果、売上が減少して採用費もろくに確保できなくなるという負の連鎖を生み出すことも懸念されます。
人材採用の失敗は歯科医院経営に大きく関わる要因の1つですので、慎重に行うことが求められます。
無駄な最新設備やコンサルを導入する
レセコンや設備機器の営業担当者の口車に乗せられて、深く考えずに最新設備に投入してしまうことも、歯医者が経営に失敗する要因として挙げられます。
最新設備だからと購入してみたものの、現場での運用や管理方法が分からず、使用しないままレンタル費用だけ毎月支払い続け、無駄な出費を重ねては儲からなくなることは必然です。
また、経営コンサルタントと契約したにもかかわらず、効果的な手法を提案してくれないので状況が何にも変わらない…と悩む歯科医院も存在します。
設備にしろコンサルにしろ、費用対効果がないものに投資すると出費が膨らむだけに留まらず、「院長は無駄遣いしている」「利益が還元されていない」とスタッフに不信がられ、離職につながる恐れがあります。
経費の支出が多い
院長の経費に関する知識や対応不足も、経営難に陥る要因です。
例えば「大手だから」と短絡的な理由で、高い光熱費や通信費を設定している企業と契約すれば、無駄な経費の支出がかさんで儲からないのは当然です。
「一括で購入すると単価が安くなるから」という理由でまとめて仕入れると、在庫が余って廃棄せざるを得ず、結局出費が膨らむかもしれません。
歯科衛生士や歯科助手などの現場スタッフに業務の多くを丸投げしている場合、業務の効率化が図れず余計に残業代がかかって、知らず知らずのうちに人件費がかさんでいることも懸念されます。
個人経営の歯医者は、医師であると同時に経営者でもあります。
どうすれば無駄な経費を削減でき、出費を抑えて売上を伸ばせるかを模索することが求められます。
集患が上手くできていない
どれだけ優秀な人材を採用したり、無駄な経費を削減できたりしても、そもそも集患が上手くできていなければ歯科医院が儲けを出すことは難しいです。
リピーターを増やすことも大事ですが、まずは新規患者をできるだけ多く獲得して、着実に売上を伸ばしましょう。
パンフレットの配布や看板の設置、地域イベントへの参加など、大金をかけずともできる集患方法を実施します。
併せて、今通っている患者の満足度を上げて口コミで周囲に宣伝してもらうためにも、スタッフの接客態度を統一化したり、院内の清掃に力を入れたりすることも重要です。
歯医者が儲けていくための方法
儲かる歯医者になるためには、何をどうすればいいのでしょうか?
個人経営の歯科医が儲けていくための方法を3つ解説します。
経営やマネジメントに関するセミナーを受講する
歯科医院が売上を増やすためには、歯の治療以外にもクリニック経営や人材のマネジメントに関するスキル取得が大切です。
医院経営についてしっかりと学んだ経験がない歯医者は、専門のセミナーを受講することをおすすめします。
近年ではオンラインセミナーも増えているので、診療業務で忙しい方でも気軽に受講しやすいです。
余裕があれば経営やマネジメントに関する勉強会に参加したり、関連する本を読んだりしてノウハウを増やしましょう。
自費での治療メニューを増やす
虫歯治療や抜歯といった保険適用となる治療メニューしか展開していないと、継続的な売上の向上は難しいです。
そこで、ホワイトニング・マウスピース矯正・インプラントといった審美目的の矯正治療や、特殊で高価な材料を使用した詰め物や義歯など、保険適用外となるメニューを増やしましょう。
また、「痛みのない治療」や「コンプレックスケア」など最新の治療方法に対応できる環境を整えれば、他院と差別化を図ることが期待できます。
診療単価アップや競争力を維持するためにも、自費での治療メニューを取り入れることをおすすめします。
オンラインでの集患にも力を入れる
近年では歯科医院をインターネットで探す患者が多いので、オンラインでの集患に力を入れましょう。
例えばホームページを作成して信頼性を高めたり、SEO対策を行って検索結果で上位表示して認知度を上げたりする必要があります。
また、SNSで情報発信して患者にとって歯医者が身近な存在であることをアピールしたり、MEO対策してマップから自院を見つけ出してもらったりすることも大切です。
オンラインでの集患が上手くいけば、継続的に新規患者を獲得できて儲かりやすくなるので、ぜひ積極的に対策しましょう。
まとめ
「歯医者は儲からない」と懸念されていますが、これは歯科医院の件数が多かったり、高い運営コストがかかったりするからです。
反対に言えば、経営のノウハウを獲得したり、オンラインでの集患したりするといった対策ができている歯医者であれば、しっかり儲けを出して経営を安定させられるでしょう。
弊社Denis techは、歯科医院様専門のデジタルマーケティング支援会社です。
これまでに多くの歯科医院様の経営をサポートして参りました。
気になる方はぜひお気軽にご相談ください。