歯医者は儲からないって嘘?平均年収や開業医が儲けるポイントをご紹介

目次

歯医者と聞くと「医者だから儲かっていて当然」と思う方は少なくないでしょう。

ですが、近年では歯科医院の倒産件数が増えているので、嘘のようにも感じられます。

今回は「歯医者は儲からない」が嘘かどうかを調べるべく、歯科医院の平均年収や市場の実情をご紹介します。

また、歯科の開業医が儲けるためのポイントも解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

そもそも歯医者の平均年収はいくら?

厚生労働省が発表した『令和4年度 賃金構造基本統計調査』によると、全年齢での歯科医師全体の平均年収は810万4,100円です。

企業の規模別に見ると、10〜99人では年収が約815万円、100〜999人では約903万円、1,000人以上では約752万円です。

また、平均年収は勤務医の700万円前後ですが、開業医では1,400万円にも上ります。

年収だけ見ると、決して「歯医者は儲からない」とは言えないように思えます。

「歯医者は儲からない=嘘」とは断言できない

歯医者は儲かっているように見えますが、前述の調査によると歯科医師の年収は20歳〜24歳枠では約210万円となっており、若手は全然儲からないことが分かります。

なお、歯学部は6年制かつ臨床研修を1年間行うので、歯科医院になるには最短で24歳からです。

大学卒業後すぐに開業する人はほとんどおらず、勤務医1年目での年収が計算されているため、非常に低い年収になっていると考えられます。

また、帝国データバンクの調査によると、2024年に休廃業・解散した歯医者は前年同期の1.8倍にも上る126件でした。

近年では廃業してしまう開業医は少なくなく、あながち「歯医者は儲からない」とも言い切れない状態です。

開業した歯医者が経営難に陥る理由

せっかく下積み時代を経て自分の歯科医院を開業したにもかかわらず、なぜ廃業に追い込まれるほど経営難に陥ってしまうのでしょうか?

歯医者が潰れてしまう理由はいくつか考えられますが、特に多いものをご紹介します。

物価や人件費などコストが上昇したから

近年では物価の高騰が著しく、歯科医療で必要となる高度で精密な機器・材料の価格も上昇傾向にあります。

特にCTやCAD/CAMといった最新のデジタル機器や歯の詰め物の材料などは高額で、機器を導入することで莫大な経費がかかってしまいます。

また、都市部では駅周辺や商業施設内のテナント料が高騰していて、医院の維持管理費だけでも年々コストが増えているのが実情です。

光熱費も上昇しており、特に空調や医療機器の電力消費量は大きいため、経営を圧迫する要因となります。

さらに、歯科衛生士や歯科助手は専門性の高い職種であり、人材確保が難しいため、高い人件費もかけざるを得ません。

歯科医院の数が多すぎるから

厚生労働省が公開した『令和4年 医療施設調査』によると、全国にある歯科医院数は67,899院でした。

日本経済新聞社が実施した『2023年度 コンビニエンスストア調査』では、全ブランドのコンビニの日本国内における店舗数が57,594店舗とされています。

近年での歯医者の数はコンビニよりも10,000件以上も多く、競争が大変激化していることが分かります。

特に都市部では駅周辺や商業施設内に多くの歯科医院が集中しており、患者の獲得競争が激しくなっています。

他院に患者を奪われた歯医者は、必然的に廃業せざるを得ないでしょう。

人口減少で後継者や患者数が不足しているから

日本は少子高齢化により人口減少が止まる兆しがなく、人材の確保が難しい状況です。

特に開業医の場合は歯科助手や受付といったスタッフも同様ですが、何よりも後継者が不足しています。

院長を受け継ぐ人がいなければ経営を続けられないのは当然であり、後継者が現れなかったために廃業になる歯医者も少なくありません。

また、患者の数も減少していることから、少ない患者を多くの歯科医院が奪い合っている状態です。

新規患者を確保しつつ、長年にわたり自院に通い続けてもらわないと、歯科医院の存続は難しいでしょう。

経営戦略が立てられていないから

歯科医師は高度な医療技術を持っているものの、経営に関する知識や経験が不足している場合が多いです。

効果的な集患対策や経営戦略を立てられていないことから、経営難に陥ってしまうケースが考えられます。

資金繰りやスタッフの教育、マーケティングや競合他院の分析不足などが経営に影響を与えるので、よく経営戦略を練ってから開業することが大切です。

開業歯医者が儲かるためのポイント

開業した歯医者が儲かるためには、どのような工夫をするべきでしょうか?

歯科医院が激化する競争の中で生き残るためのポイントをご紹介します。

経費を削減する

利益率を少しでも多く上げるためには、とにかく経費を削減して無駄な出費を省くことが重要です。

経費には人件費も含まれますが、スタッフのモチベーションが下がってパフォーマンスが悪くなったり、転職して人員が減ったりする恐れがあるので、基本的な人件費の削減は控えましょう。

そのうえで、歯科医院で削減できる可能性が高い方法は以下の通りです。

  • スタッフの業務上の悩みや作業フローなどを聞いて、残業時間を減らす
  • 廃棄量を抑えるため、必要分だけの在庫を抱える
  • 省エネルギー機器を導入して節電する
  • 上下水道に節水機器を導入する
  • カルテなどを電子化してペーパーレスにする

節税対策する

経費を削減するのと同様に、節税対策にも取り組むことで、余計な出費を減らせます。

例えば措置法第26条で定められている「医師優遇税制」では、個人で経営している歯科医院やクリニックを対象に、保険診療報酬が年間で5,000万円以下であれば概算で経費の計算が行えます。

実際にかかった経費よりも多く経費として計上できるため、節税につながります。

他にも、使っていない固定資産を除却したり、減価償却費を計算したりして、1円でも多く節税できるよう対策しましょう。

自費診療を豊富に取り入れる

虫歯治療・抜歯・歯周病治療などの保険診療は、歯科医師が自分で治療費を決められないので、利益率を上げることは難しいです。

そのため、保険適用外となる自由診療のメニューを増やすことで、利益率アップが期待できます。

自由診療であれば歯科医が自由に治療費を設定が行えるので、言い値で治療を行うことが可能です。

また、診療のうち自由診療の割合が多くなれば、保険診療よりも高い利益率を確保しやすいため、断然儲かりやすくなります。

儲かっている歯科医院は自由診療に注力して売上を伸ばしているケースが多いので、自院の対応項目にホワイトニング・歯科矯正・インプラントなどを取り入れましょう。

予防歯科に力を入れる

歯科医院に限った話ではありませんが、儲かっているクリニックや小売店などはリピーターが多く、定期的に何度も通い続けるユーザーによって経営が支えられています。

歯医者の場合、患者に予防歯科の大切さを伝えて、数カ月や1年に1回というペースで定期健診に来てもらうことで、リピート率アップにつなげることが大切です。

さらに、定期健診では歯科医師ではなく歯科衛生士がメンテナンスを行うといった対応で十分まかなえるので、歯科医は他の患者を診る時間が取れて生産性が上がります。

加えて、定期健診を行うことで虫歯や歯周病といったトラブルがない状態が続き、患者が口内の健康を実感できれば、家族や友達など周囲の人に自院をおすすめしてもらえるかもしれません。

自院の良い評判が口コミで広がれば、新たな患者を獲得できる可能性が高く、儲かる歯医者を目指せるでしょう。

マーケティング活動に注力する

歯医者におけるマーケティングとは、患者数を増やしつつ、自院の評判を高めるために行う活動全般を指します。

まずはホームページを制作して、歯科医院の情報や医師の紹介、治療内容や料金などを掲載して信頼性を高めます。

また、SEO対策を行ってGoogleをはじめとする検索エンジンで上位表示されるように対策し、Webサイトへのアクセス数を増やしましょう。

パンフレットを配ったり看板を設置したりして、近所に住んでいる人からの認知度を高めることも重要です。

歯医者が集患を目的にしたマーケティングに取り組みたいときには、こちらの記事を参考にしてみてください。

歯科医院が効果的に集患するには?オンライン・オフラインでの方法を解説

まとめ

歯医者は年収だけ見ると儲かっているように見えますが、勤務医の若手医師は儲かっておらず、廃業に追い込まれる歯科医院は少なくありません。

ですので、一概に「歯医者は儲からない、という噂は嘘だ」とは言い切れないのが実情です。

開業している歯医者が儲かるためには、経費削減や節税対策、マーケティングに力を入れるなどの経営戦略を取ることが大切です。

弊社Denis techは歯科医院様専門のデジタルマーケティング支援会社です。

これまでに多くの歯科医院様をサポートして参りました。

気になる方はぜひお気軽にご相談ください。

Screenshot

株式会社Denis tech

統括webディレクター 四ノ宮蒼也

新卒で経済産業省に入省し、政策運営を通じて分析力と実行力を培う。その後、歯科業界の課題と可能性に触れ、「業界の未来を切り拓きたい」という強い思いで転職を決意。政策立案で磨いたスキルを活かし、患者さんと歯科医院をつなぐマーケティング支援を展開している。これまで数多くの歯科医院の経営改善を成功に導き、現在はセミナー登壇や提携事業を通じて、業界全体の発展に情熱を注いでいる。

最新記事

お問い合わせ