「歯科医院を開業したいけど、何にいくらかかるのだろう?」
「莫大な開業資金をどのように準備すればいいのかな?」
このようなお悩みや疑問をお持ちの歯科医師は少なくないでしょう。
そこで当記事では、歯科医院の開業資金の目安やその内訳、資金の調達方法について分かりやすくご紹介します。
自院の開業を目指している方、開業資金の相場を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
歯科医院の開業時にかかる費用の目安
歯科医院の開業費用は、全部で5,000万円以上になると言われています。
何にどれくらいかかるのか、費用の目安や内訳をご紹介します。
医療機器の購入費
歯科医院の開業資金のうち、大部分を占めるのは医療機器の購入費です。
バキュームシステムやレントゲン設備、滅菌器などあらゆる機器を含め、診療に必要な数を医院の規模や予算に合わせて計上しなければなりません。
医療機器メーカーや機械の品質によって費用は大きく変わりますが、最低でも2,000万円はかかると見込んでおいた方が良いでしょう。
内外装の工事費
30坪規模の歯科医院では、設計・施工、給排水や電気工事も含めた内装の工事費用は1,000万円から1,500万円、外装は500万円が目安です。
なお、歯科医院は配管を通すため床上げが必要となることから、他業種の内装工事よりも金額が高くなりやすい点に留意しましょう。
また、建築基準法(第28条)に基づき居室の採光および換気に関する基準を遵守したり、消防法(第17条)により消防設備の設置が必要となったりします。
賃貸契約金
歯科医院をテナントから開業する場合、敷金・礼金・保証金・前払い賃料・仲介手数料などを含んだ賃貸契約金は、1,000万円から1,500万円くらいになるでしょう。
特に都市部では地方よりも賃料が高めに設定されているため、上記以上の費用がかかるかもしれません。
なお、テナントの場合の敷金は賃料の1ヶ月から3ヶ月分、礼金は賃料の1ヶ月から2ヶ月分が一般的です。
加えて、保証金として賃料の6ヶ月から12ヶ月分がかかると言われています。
広告費や求人費
歯科医院で働くスタッフの求人募集や、集患に向けた広告費用も開業資金に計上する必要があります。
歯科衛生士の求人費用は1人あたり10万円から100万円、広告費は公式ホームページの制作やパンフレットの配布で100万円から200万円が目安です。
特に近年ではインターネットから歯科医院を探す人が増えているので、オンラインでの広告費は多く見積もることをおすすめします。
当面の運転資金
歯科医院を開業しても、しばらくは売上が安定しないことが懸念されるため、前もって運転資金を確保しておく必要があります。
また、国民健康保険の診療報酬は実際に入金されるまで約2ヶ月かかるので、それまでは収入がほとんどない状態になります。
しかし、その間も人件費・光熱費・テナント料・歯科材料費などの経費はかかるため、かなり多めの運転資金を用意しておくことが重要です。
一般的には、開業後6ヶ月分の運転資金として約1,000万円を準備すると良いと言われています。
歯科医院の開業資金の調達方法
歯科医院の開業資金は5,000万円以上かかると言われているものの、土地を購入したり医院を新築する場合はもっと高い金額が必要になるかもしれません。
どうしたらそんなに高額な資金を用意できるでしょうか?
自己資金以外で、歯科医院が開業資金を調達する方法を解説します。
金融機関からの融資
銀行をはじめとする金融機関からの融資は、歯科医院の開業資金を調達する方法で最も一般的です。
融資してもらえる金額は条件によって異なるため、開業時期の目途が立ったらなるべく早めに金融機関に相談しましょう。
融資の申請には事業計画書や資金計画書の提出が必要で、収支予測や集患方法を具体的に記載することで、審査が下りやすくなります。
なお、利息の控除を受けたい場合は、利息を正確に計上してください。
国や自治体の補助金
国や地方自治体からの補助金を活用して、歯科医院の開業資金をまかなうことも検討しましょう。
歯科医院が使える補助金には、以下のようなものが挙げられます。
- 医療施設等施設整備費補助金
- 臨床研修費等補助金
- 働き方改革推進支援助成金
- ものづくり補助金
ただし、補助金の書類申請から審査を経て、融資が決定するまでには時間がかかることがあります。
また、必ずすべての審査が下りるとは限らず、融資が決定しても実際に支払われるのは数か月後になるケースも考えられます。
補助金を当てにしすぎて資金計画を立てると、計画に狂いが生じたりトラブルに発展したりする恐れがあるので、よく注意して申請しましょう。
ビジネスローン
ビジネスローンとは、法人や個人事業主が事業資金を借り入れるためのローンで、銀行融資や公的融資と比べて必要な書類や審査の工程が少ないことが特徴です。
担保や保証人が不要ですばやく融資してもらえるため、突然資金が必要になった場合に重宝します。
ただし、金利が高めに設定されていたり、借入可能額が低かったりするので、計画的な返済が必要になります。
また、契約する前に返済条件や手数料などをしっかりと確認し、一時的な資金調達として利用しましょう。
歯科医院の開業資金を抑えるポイント
歯科医院の開業資金をなるべく抑えたい場合、どのような対策が取れるでしょうか?
資金を抑えるためのポイントを5つご紹介します。
開業資金の見積もりを厳密に立てる
歯科医院を開業するために必要な資金を計算する際は、内外装工事費用や医療機器費用などそれぞれの項目で厳密な見積もりを立てましょう。
「賃貸契約金は大体1,000万円くらい」というように資金の内訳が曖昧な場合、もし大幅に超過した場合のさらなる資金調達に苦労するうえに、金融機関での信用度が低下して融資してもらえないかもしれません。
ですので、税理士や司法書士といった専門家に相談して、具体的な資金計画を立てることが重要です。
なお、日本政策金融公庫や各地の商工会議所なら無料で相談できるので、遠慮なく活用しましょう。
返済計画を作成する
融資の返済に追われて首が回らなくなるのは元も子もないので、開業資金を調達した後の返済計画は明確に作成しましょう。
返済計画では、融資金額・金利・返済期間を考慮し、無理なく毎月返済できるように調整しなければなりません。
一般的に歯科医院が開業してから収入が安定するまでには6ヶ月から12ヶ月かかるとされているので、それを見越して計画を立てておくことが大切です。
また、返済期間や金利を交渉するときは、借入先との契約条件を徹底的に確認し、利息制限法(第1条)の範囲に収まるように計画してください。
収益と返済額のバランスをしっかりとチェックして、着実に返済できるように準備しましょう。
融資はできるだけ多めに借りる
自己資金額によりますが、融資を受ける際はできるだけ多めに借りましょう。
開業資金はいくら前もって綿密に計画を立てていたとしても、いざ歯科医院を開業すると予想外の出費が発生することは珍しくないからです。
また、前述したように国民健康保険の診療報酬が実際に入金されるのは2ヶ月も先ですので、一般的な事業よりも運転資金にかなりゆとりを持たせる必要があります。
もし開業した後に資金不足に陥り、追加で融資を受けるとなると再び審査が必要で、さらに時間と手間が多くかかってしまいます。
ですので、開業資金は可能な限り多めに借りて、余裕を持って運用できるようにしましょう。
医療機器をリース契約する
開業にかかる初期投資費用をなるべく抑えたいなら、歯科治療ユニットやレントゲンといった医療機器はリース契約することがおすすめです。
数百万円もする医療機器をすべて一括で購入した場合、開業資金を大きく圧迫するうえに、固定資産税の支払いや減価償却で経費を計上するなど手間がかかります。
一方でリースした場合、毎月の支払いが数万円から数十万円で済みますし、経理処理が簡単で管理しやすいです。
ただし、リース期間満了時に追加費用が発生するので、そこまで見込んだうえで資金計画を立てる必要があります。
自由診療のメニューを多く取り揃える
開業資金をまかなうためにも、自由診療のメニューを多く取り揃えて、売上を大きく増やすことが大切です。
歯科における自由診療のメニューの例は、以下の通りです。
- インプラント治療
- セラミック治療
- ホワイトニング
- 歯列矯正
- スポーツ用マウスピース
- 歯科人間ドック
自由診療でしっかり稼ぎ、融資された資金になるべく手をつけなければ、結果的に開業資金を抑えることにつながります。
戦略的なマーケティング施策を行い、自由診療を受けたい患者をできるだけ多く集めましょう。
まとめ
歯科医院を開業する際には、医療機器の購入費や内外装の工事費などが必要です。
費用は5,000万円以上かかると言われているので、金融機関からの融資や国や自治体の補助金を頼りに資金を調達しましょう。
また、医療機器をリース契約したり、自費診療のメニューを多く用意して収入を増やしたりして、開業資金をなるべく抑えることがポイントです。
弊社Denis techは歯科医院様専門のデジタルマーケティング支援会社です。
これまでに多くの歯科医院様の開業をサポートして参りました。
開業を検討している歯科医師の方は、ぜひお気軽にご相談ください。